オーデコ事業部 Division

オーデコの仕組み

オーデコ

 小型カメラで、前方を撮影する
内蔵された小型カメラで、前方を撮影します。前方とはカメラの向いている方向、つまり使用者の顔の向きです。使用者は「見たい」方向に顔を向けることで、撮影する方向を定めます。

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 撮影した映像を電気刺激に変換する
撮影した映像は小型コンピューター(以下「本体」)に送られます。本体でまず、送られてきた映像の輪郭線を抽出します。そして、抽出した輪郭線を電気刺激に変換します。
 額(おでこ)で刺激を感じとる
電気刺激に変換された輪郭線は、使用者の額部分に装着された512個の電極から出力します。使用者は、出力される輪郭線刺激を額の触覚で感じとります。
 白杖の先の前方をイメージする
使用者は、額で感じとった刺激の位置・動き・形から、前方の空間をイメージします。白杖を使って歩きながら、白杖の届かない範囲の情報を額から得られると、より安心して、そして楽しく歩行できるようになります。

「オーデコ」の特長 ~生活の質が変わる!~

(1)遠くにあるものがわかる
オーデコは、距離の制限がありません。周りの環境に合わせてカメラを向けることで、素手や白杖では届かない距離のものでも、方向や形を捉えることができます。
<モニターさんの声>

・白杖より先に危険を予測でき、安心感が増す
・遠くにある物を「目印」にして、前進できる
・道端に停めてある自転車の存在と位置がわかる
・自分の立っている道の、伸びている方向がわかる
・方向を見失わない
・ドア枠や柱にぶつからずに通過できる
・目的物に真っ直ぐ手を差し伸べることができる
・落し物を探し、拾える

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(2)連続する動きがわかる
オーデコは、人や車など動いているものを、連続した刺激で捉えることができます。風や反響のために音では距離や方向を捉えにくい環境での、情報取得に役立ちます。
<モニターさんの声>

・前を行く人を追って歩くことができる
・並んでいる人や立ち止まっている人を捉えられる
・信号待ちなどで、人のすぐ後ろで立ち止まれる
・エレベーターや電車の扉の開閉がわかる
・人の出入りの有無がわかる

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(3)平面的な情報がわかる
白杖での伝い歩きがしにくい場所(商店街や駅構内など)、直角に交わらず渡りにくい交差点などで、障害物の有無や地面に引かれた白線、横断歩道などを捉えることができます。
<モニターさんの声>

・横断歩道の白線を利用して、確実に道を横断できる
・壁や段差など(白杖でわかるもの)がなくても歩ける
・細い路地でも、道端の白線を辿って真っ直ぐ歩ける

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☆また、近くにあるものでも、触れないもの(危険物など)や触りたくないもの(汚れるものなど)を、素手や白杖を使わずに確認することができるのも、オーデコの大きな特徴です。
<モニターさんの声>

・公衆トイレで、便器の位置や形、ペーパーなどの配置を、素手で触れずに確認できる
・博物館などで、手で触れない展示品でも、大きさや形を捉えて鑑賞できる

「オーデコ」のトレーニングの流れ

オーデコは、視覚障害者が白杖にプラスαの情報を得ることで、より安全に、より楽しく歩行することを目的としています。「額でものを”見る”」ためには、額で刺激を認識し、それを頭の中でイメージに変換する必要があります。オーデコに外科的な手術は必要ありませんが、その分トレーニングが必要です。ここで示すトレーニング内容は、基礎的な技術の習得を目指しています。使用者はこのトレーニングを修了後、オーデコをそれぞれの生活環境に合わせて活用していくことになります。習得までの所要時間には個人差がありますが、目安は20~30時間です。

 

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機器の操作・装着方法や、カメラの動かし方を練習します
   

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正面方向にあるものを捉え、方向や高さを認識し、
移動に伴う刺激の変化から遠近を認識できるようにします
   

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足元前方にあるものを捉え、方向や高さを認識し、
遠近に伴う刺激の変化から距離を認識できるようにします
   

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おもに屋内練習で習得した技術を活かして、
屋外歩行に必要な情報取得と、活用方法を習得します
   

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それまでの練習内容を総復習し、日常生活において自発的にオーデコを有効活用できる段階にあるかを確認します

「オーデコ」の技術

オーデコは、東京大学大学院情報理工学系研究科の舘研究室と、株式会社アイプラスプラスとの共同研究の成果として完成したものです。その後、共同研究は電気通信大学ヒューマンコミュニケーション学科の梶本研究室にも拡大して、継続しています。ここにその基盤技術の一端をご紹介します。

【高速スイッチング】
一般的に電気刺激では、動軸電極と呼ばれる中央の刺激電極周被を囲むグランド電極の大きさが、刺激密度を規定していました。オーデコは、これとは異なるマトリックス電極構造を採用しており、それぞれの電極が刺激電極とグランド電極に切り替わります。これにより各瞬間に仮想的な動軸電極を構成し、高密度で高速な刺激を実現しています。

【額触覚刺激】
電気刺激による額触覚への提示は世界で初めてのものです。額は、他の身体部位に比べて装置の着脱が容易であること、面積を触覚解像度で割った理論的なピクセル数が他の部位と同等であること、さらに、前方が額に提示されることは非常に直観的であることが確かめられています。

【画像処理】
カメラから取り込まれた画像は、2つの処理を経て触覚刺激に変換されます。まずは、輪郭を抽出してエッジを強調する処理です。次に、時間変化の情報を強調するフィルター処理です。同様の処理は、人間の網膜でも行われています。オーデコは、このように実際の人間が行う画像処理システムの前処理を模倣し、画像認識を有効的に行っています。

関連会社

eyeplus
会社名:株式会社アイプラスプラス
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